今日の「秋分の日」は、昼と夜の長さがほぼ等しくなる秋の節目の日です。でも「お彼岸ってどういう意味?」「由来は?」と聞かれると、答えに迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、春と秋に訪れる「お彼岸」の意味や由来をわかりやすくご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
知っているようで意外と知らないお彼岸の常識

日本では古くから、春分・秋分の日を「彼岸の中日(ひがんのちゅうにち)」として、先祖を敬い、感謝する日とされてきました。
お彼岸は、春分・秋分を中日として前後3日間、合計7日間続く行事です。この期間は「あの世(彼岸)とこの世(此岸)」がもっとも近づくとされ、主にお墓参りを行います。
- 開始を「彼岸入り」
- 終わりを「彼岸明け」
と呼び、1年で春と秋あわせて14日間が「お彼岸」にあたります。
お彼岸とは?
「彼岸」とは悟りの世界のこと。それに対して、私たちが生きる迷いや煩悩のある世界を「此岸(しがん)」といいます。
迷いのある此岸から悟りの彼岸へ至るために修行をする期間が「お彼岸」です。
お彼岸の日はどう決まる?

春分の日・秋分の日は毎年変わり、国立天文台が発表する「暦象年表」で決まります。
- 春のお彼岸 → 3月の春分の日を中日とした前後3日間
- 秋のお彼岸 → 9月の秋分の日を中日とした前後3日間
春分・秋分の日は太陽が真東から昇り、真西に沈む日。
仏教では「彼岸は西に、此岸は東にある」とされるため、この日はご先祖様に思いを伝えやすい特別な日と考えられています。
お彼岸が日本の風習になった理由
「彼岸」の語源はサンスクリット語の「paramita(パーラミタ/到彼岸)」。
日本では平安時代から取り入れられ、室町時代にご先祖供養の仏教行事として広まりました。インドや中国にはない、日本独自の習わしです。
春と秋のお彼岸の違い
ご先祖様を供養する目的は同じですが、違いはお供え物です。
- 春 → 牡丹の花にちなみ「ぼた餅」(こしあん)

- 秋 → 萩の花にちなみ「おはぎ」(粒あん)

季節の植物にちなんだお供えで、ご先祖様を偲びます。
お彼岸とお盆の違い
- お彼岸:年2回(3月・9月)、ご先祖様に「思いを伝える」期間
- お盆:年1回(8月)、ご先祖様を「家に迎えて供養する」期間
目的も意味も異なりますが、どちらも「先祖を敬う心」が大切にされています。
戦前までは秋季皇霊祭という祝日だった!

出典:宮内庁
秋分の日は、もともと「秋季皇霊祭」という祝日でした。これは天皇陛下が歴代の天皇・皇族の御霊を祀る大切な宮中祭祀で、先祖供養の日でもありました。
毎年2回、春分の日に春季皇霊祭、秋分の日に秋季皇霊祭が斎行されます。これが戦後に改名されています。明治時代に皇室行事として「皇室祭祀令」によって制度化され、大祭に指定されました。
戦後、1947年(昭22)に廃止され、「国民の祝日」として改称し、現在に至ります。1948年以降も宮中では、従来通りの皇霊祭は行われています。
宮内庁によると、主要祭儀一覧に下記のように紹介されています。
秋分の日 | 秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい) | 秋分の日に皇霊殿で行われるご先祖祭 |
秋季神殿祭(しゅうきしんでんさい) | 秋分の日に神殿で行われる神恩感謝の祭典 |
まとめ
お彼岸は、春と秋の2回訪れる日本独自の風習です。太陽の動きと仏教思想、そしてご先祖様を敬う心が結びついて生まれました。
お彼岸の本来の意味を知ると、なぜこの時期に供養するのかがよく分かります。この機会に、ご先祖様を偲び、日々の感謝を伝えてみてはいかがでしょうか。
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🔶福永 あみ / Ami Fukunaga🔶
フリーランスライター兼ディレクター/英語講師
証券会社勤務を経て渡米し、ロサンゼルスの大学でテレビや映画を学ぶ。現地では執筆活動や映像制作に携わり、ライフワークとして日系アメリカ人の歴史の取材も行う。2011年に帰国後、出版社やNHKワールドジャパンなどで勤務。現在はフリーランスとして、英語講師やディレクター業の傍ら、ブログ「カルカフェ」を運営中。
神社仏閣や伝統工芸、美術、陶芸、ヨガなど、日本文化や暮らしを丁寧に楽しむライフスタイルを大切にしている。2019年には神社検定弐級を取得。最近は、日本の歴史を改めて学び直し中です。
このブログでは、そんな日々の学びや旅、映画やアートのことまで、心に響いたことを自由に綴っています。あなたの暮らしにも、小さな発見や癒しが届きますように——。