4月6日、世界保健機構(WHO)が「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)感染拡大における成人への栄養アドバイス」(Nutrition advice for adults during the COVID-19 outbreak)を公表しました。
不要不急の外出を制限されて、仕事や学業以外に頭を悩ませるのが食事。
「毎日、朝昼晩ごはんを用意するなんて、もう大変…」
家族の健康面を考えれば、できるだけ感染リスクを減らすために免疫力をアップする効果的な食事を心がけたい。でも、自粛のために生活スタイルを変えるだけで精神的にも肉体的にも大変です。
そこで、WHOや国内の医療関係者がアナウンスする『免疫力を高めるバランスのとれた食事』に注目しました。WHOが推奨する食事・栄養面からの対策と日本国内の食事における予防対策情報を合わせてご紹介します。
【WHOのコロナ対策】食事面での予防対策とは?
1.WHOが提唱するバランスの摂れた食事とは?
基本戦略:感染症のリスクを下げるために免疫系を整える、バランスのとれた食事。
(一部、国内の現状と異なる情報があるので、その点を考慮して参考に)
- 毎日、ビタミンやミネラル、食物繊維、タンパク質、抗酸化物質をとり入れる
- 毎日、多くの新鮮な未加工食品を食べる
- 十分な水を飲む
適切な栄養と水分補給が不可欠です。 バランスの取れた食事をする人は、免疫系が強く、慢性疾患や感染症のリスクが低いため、健康的である傾向があります。よって、体が必要とするビタミン、ミネラル、食物繊維、タンパク質、抗酸化物質を得るために、毎日さまざまな新鮮な未加工食品を選び、十分な水を補給することを勧めています。 その結果、糖分、脂肪、塩分を避けて、過体重、肥満、心臓病、脳卒中、糖尿病、特定の種類の癌のリスクを大幅に下げます。
2.詳細な推奨事項
(※WHOの推奨事項の中には、国内の事情と習慣の違いから日本人に合わせて内容を一部変更しております)
① 毎日、新鮮で加工されていない食品を食べる
- 果物、野菜、豆類(大豆など)、ナッツ類、全粒穀物、芋類、および肉類、魚介、卵、牛乳などの良質なたんぱく質を摂取する。
- 間食には、糖分、脂肪分、塩分が多く含まれたものを避け、生野菜や新鮮な果物を選ぶ。
- ビタミンなど重要な栄養分が失われることがあるため、野菜や果物を過剰に調理しない。
- 缶詰や乾燥野菜、ドライフルーツなどは、塩や砂糖が使われていないタイプを選ぶ。
② 毎日、十分な水分を補給する
- 水は生命にとって必要不可欠です。 水分は体内でさまざまな役割をしていて、血液中の栄養素を全身に運んだり、体温の維持・調整をし、汗や尿として老廃物を排出したり、関節を滑らかに動かす潤滑油の役割を担う。
- 毎日8〜10カップの水を飲むようにする。
- 水分補給に水が最良ですが、レモンジュース(無糖タイプ)、お茶、コーヒーなどの飲み物、または果物や野菜をジュースにして飲むのも良い。 但し、カフェインの撮り過ぎに注意が必要。やはり、人口甘味料などの食品添加物が含まれるフルーツジュース、シロップ、濃縮果汁、炭酸飲料などはできるだけ避けること。
③ 適量の脂肪と油を食べる
- 飽和脂肪 (※1) ではなく、不飽和脂肪(※2)を積極的に摂取する。
(※1) 飽和脂肪を含む食品:脂肪の多い肉、バター、パーム油、ココナッツオイル、クリーム、チーズ、ラードなど。
(※2) 不飽和脂肪を含む食品:魚、アボカド、ナッツ、オリーブオイル、大豆、キャノーラ油、ヒマワリ油、コーンオイルなど。
- 赤身の肉ではなく、低脂肪の白身の肉(鶏むね肉やささみ肉など)と魚を選ぶ。
- 脂肪や塩分が多い加工肉は避ける。
- 牛乳や乳製品は、できるだけ低脂肪または低脂肪タイプを選ぶ。
- 人工のトランス脂肪酸 (※3) は避ける。
(※3)トランス脂肪酸が含まれる食品:加工食品、ファーストフード、スナック菓子、揚げ物、冷凍ピザ、パイ、クッキー、マーガリン、スプレッド(パンやクラッカーに塗るもの)など。
④ 塩と砂糖を控える
- 調理するときは、塩や高ナトリウムの調味料(醤油や魚醤など)を使い過ぎない。
- 1日の塩分摂取量を5 g(小さじ約1杯)未満に制限する。
- 塩分と砂糖が多い食品(スナック菓子など)は避ける。
- ソフトドリンクや炭酸飲料、または砂糖を多く含むその他の飲み物(フルーツジュース、濃縮果汁、シロップ、フレーバーミルク、ヨーグルトドリンクなど)の摂取を制限する。
- 間食には、クッキー、ケーキ、チョコレートなどの代わりに、新鮮な果物を選ぶ。
⑤ 外食を控える
- 家での食事の方が、外食よりも他人との接触率が減る分、感染症に曝されるリスクが低くなる。基本的には、咳やくしゃみをしている他の人とは1メートル以上(注1)の距離を取るのが良い。但し、レストランやカフェのような混雑した環境下では、それが有効であるとは限らない。
- 感染者からの飛沫は、他の顧客やスタッフなどの手やモノに付着する可能性がある。また、人の往来の激しい場所においては、定期的に人々が十分に手を洗浄・消毒されているか分からない。
注1:厚生労働省では、密集しないように、他の人とは手を伸ばして届かない十分な距離(2メートル以上)を保つように勧める。また、国内においては、「3つの密」①換気の悪い密閉空間、②多数が集まる密集場所、③間近で会話や発声をする密接場面を避けるよう要請。
⑥ カウンセリングと心理社会的サポート
適切な栄養と水分の補給は健康と免疫力を高める。しかし、魔法のように問題を解決する方法ではない。新型コロナウィルスが疑われた人、または慢性疾患のある人で感染が確認された人は、メンタルヘルスと食事療法のサポートが必要になる場合がある。ヘルスケアの専門家や、地域密着型サービスのカウンセラー、もしくは信頼できるカウンセリングや心理・社会的サポートを利用することも大切。
- 0120-565653(フリーダイアル)
- 受付時間:9時から21時(土日・祝日も実施)
※新型コロナウィルス感染症に関する一般的な電話相談は、各都道府県が設置している電話相談窓口へ
北海道
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宮崎県 鹿児島県 沖縄県
3.関連リンク
内閣官房:新型コロナウィルス感染症の対応について(https://corona.go.jp/)
厚生労働省:新型コロナウィルス感染症について
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html)
国立感染症研究所:コロナウィルス感染症
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus.html)
外務省:海外安全情報ホームページ(https://www.anzen.mofa.go.jp/)
農林水産省:食事バランスガイド
英国栄養士会:3月16日から新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、食生活アドバイスを公開、随時更新している。
4.この機会を利用して食生活を見直してみよう!
忙しい生活を送っている人ほど、食生活まで気を使う余裕が無かったかもしれません。自宅にいる時間が増えたこの機会にぜひお口に入れる食事を見直してみてはいかがでしょうか。
日々の健康管理のために、五大栄養素をもう一度確認し、今の食生活で栄養過多や栄養不足分があれば、メニューを調整してみましょう。
我が家では、パンなど空腹時にすぐ食べれるものの消費が多いので、消費を減らした分は果物、チーズ そしてナッツ類に代替しました。また、免疫力強化を考え、大豆製品、海藻、マヌカハニー、緑茶、紅茶、しょうがの消費も増やしています。添加物の多いドレッシングの代わりにポン酢、オリーブオイルなどを使います。
また、家時間が増えたので、いまさらですがパン焼き機を購入しました。家は全粒粉パンですが、最近は店頭でよく売れ切れているので、この機会にパン焼き機を使いこなせるよう奮闘中です。 メーカーによって出来上がり具合が違うので、 美味しく全粒粉パン作れるようになれたら嬉しいですね。
新型コロナウイルスを防止する効果的な薬剤や食品はまだありませんが、世界中で伝染病に有効な情報が多く出ています。
アメリカの国立衛生研究所でも海藻に含まれるフコイダンの成分が炎症性サイトカインを大幅に減少させたという論文を出しています。
大阪市立大学大学院医学研究科の研究グループは、抗酸化物質で大豆などに含まれるイソフラボンがCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の予防効果があることを明らかにしています。
情報から見ますと、予防に効果的なものには和食の食材が多く、海藻や大豆食品は予防に効果があるようです。また、腸内環境を整えるための食事も参考にされるといいですね。お漬物や麹、ヨーグルトなど積極的に摂りたいです。やはり日本食(和食)は調べれば調べるほど調和のとれた素晴らしい食事です。一日に一回は和食を食べるようにすることも大切ですね。
まとめ
WHOのコロナウィルス対策と国内の食事面での予防対策はいかがでしたか? 時間に追われた生活だったのが一変して家にいる時間が多くなったことで、食生活も随分と変化しました。情報を利用して、健康を保つためにも心と体に良い食事を充実させたいですね。
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🔶Author:あみ(Ami)🔶
メディアプロデューサー/英語講師/日本語講師。
日本の私立短大家政科卒。証券会社に就職後、渡米。大学でテレビ、ラジオ、及び映画制作を学ぶ。卒業後、日本のテレビ・ラジオ・出版などマスメディアの仕事に従事。趣味は文化・伝統芸能・ヨガ・バレエ・料理。近年は心理学・歴史・神社仏閣の造詣を深める。2019年、神社検定弐級合格。