NHKニュースによると、昨年から新型コロナウィルスで深刻な打撃を受けている日本経済はさらに悪化し、進行していると言います。2008年9月に起きたリーマンショック級の悪化で、メディアによってはそのダメージは3倍とも4倍とも伝えられています。それと同時に失業者の増加、また精神疾患の患者数も急増していることが明らかになりました。
特に深刻なのはコロナの終息のめどが立たないなかで、将来に不安を感じて苦しんでいる若者の増加です。
テニスの大阪なおみ選手もそのひとり。自身のツイッターで全仏オープンを棄権すると発表しました。そんな大阪選手は長い間「うつ」で悩んでいたことを告白し、スポーツ界からさまざまな反応があったのはつい最近のことです。そんな困難な状況下で、ストレスから心と体を守るための「マインドフルネス瞑想」が近年話題になっています。
- 困難な状態から抜け出したい!
- 強くなりたい!
- 成長して充実した人生を送りたい!
そんな方に、今この瞬間を大切にする生き方「マインドフルネス瞑想」をおすすめします。過去の経験や先入観などの雑念にとらわれずに、この瞬間にここにある心身の状態や気持ちに集中し、あるがままの現実を受け入れること、もしくは受け入れる心が持てる練習です。
それでは早速、ウィズコロナ時代を生き抜くためのマインドフルネスの効果やメリットをご紹介します。
誰でもできるマインドフルネス瞑想
マインドフルネスとは?
マインドフルネスとは、今この瞬間を大切にする生き方を言います。その状態とは、自分の考えや感情を「良いか・悪いか」で判断せず、冷静に観察することです。マインドフルネスを実践することで、集中力の強化やストレスの軽減などさまざまな効果が得られると、21世紀になり世界中に注目されるようになりました。
今に集中することは、過去や未来にとらわれずに今この瞬間を生きているということ。それがまさに目覚めているということです。「好きか・嫌いか」「良いか・悪いか」など、つい私たちは物事を主観的に捉えてしまいがちですが、意識して客観的に心身の感覚、感情、思考を観察し、適切に対応できるように実践していきます。
その結果、マインドフルネスは上手に自己批判や判断を回避し、困難な感情や状態を的確に管理できるようになる大切な要素と考えられています。
マインドフルネスの目的は何ですか?
心身ともに安心感や安穏な状態もたらすことができる自己意識とアイデンティティについての視点を養うことがマインドフルネスの目標です。マインドフルネスは、治療法でも使用され、ストレス、不安、または痛みに対応し、よりリラックスするために利用されています。
マインドフルネスの意味とは?
仏教経典で使われている古代言語「サティー」を英訳したのがマインドフルネスです。「サティ―」の概念は悟りの第一歩と考えられ、「悟りへの道」における気づきや存在という意味が含まれています。つまり、マインドフルネスは東洋思想に根ざしていました。
マインドフルネスは「心にとどめておくこと」「気づき」と訳され、今に100%注意を向けている心の状態を指しています。
マインドフルネスの定義とは?
今や世界中で受け入れられているマインドフルネスですが、とくに重要なのは、「意識」と「受容」という2つの要素と言われています。
①『意識』今この瞬間に意識を向ける:今この瞬間の経験や出来事など、自分の内面のプロセスや経験に注意を向け、集中させる知識と能力。
日常生活では、私たちは時間に追われ、仕事や学業をしながらも、過去や未来に意識が行ってしまい、目の前のことから注意がそれてしまっていることがあります。それは多くの注意力を浪費していると考えられています。
今この瞬間に意識を向けることで、過去や未来に意識が行くこともなく、また、外部の出来事に気をとられないことで、心に余裕ができ、穏やかな気持ちで過ごすことが出来ます。余計なことに使っていた注意力を効率的に使うことで洞察力が高まり、以前にあった不安や恐怖に襲われたことも、冷静沈着に自分で対処できるようになると言われています。
②『受容』価値判断をしない:考え、感情、そして思考の流れを判断したり回避したりするのではなく、観察して受け入れる能力
自分の状態がどのようなものであっても評価や判断を一切せず、今の状態を完全に受け入れ、そのありのままの状態を観察します。
日ごろ私たちは、身の回りで起こった出来事や状況に対して「好き嫌い」「良し悪し」で判断したり、評価することがあります。それは主観的であり、自分の視点でものを見たり考えたりすることは生きる上でとても重要な要素です。ただし、それが行き過ぎると、客観的な視点を持てなくなり、不安や恐れ、または偏見などの感情に左右されることが増えていきます。
今の自分がどんな状態なのか、自分で判断して決めつけずに、ありのままの状態を受け入れてみると、自分が置かれている状態を俯瞰することができるようになり、感情に流されずに適切に対応できると考えられています。
世界中で受け入れられている理由とは?
マサチューセッツ大学医学大学院教授のジョン・カバット・ジンは、マインドフルネス瞑想の第一人者で、1970年代後半に教授は慢性的な痛みを治療するための「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」を開発しました。
その治療法によって、患者がよく痛みを避けようとすればするほど、その回避がより深い苦痛につながることを発見しました。「マインドフルネスストレス瞑想」を初めて医療分野に取り入れ、実践したことは新しい門戸を開く大切なアプローチになりました。
次第にマインドフルネスは科学と医学に取り入れられ、重要な治療技術の主流となりました。さらにマインドフルネスをベースに認知療法、弁証法的行動療法、アクセプタンス&コミットメント療法などに統合されるようになりました。
カバットジン教授は、「マインドフルネスストレス瞑想」を初めて医療分野に取り入れ、慢性の痛みと共存を目的としたプログラム「マインドフルネスストレス低減法」を開発しました。
教授の瞑想プログラムは常識的で説得力のある言葉で実践に導いてくれると評判になり、今や医学、医療、病院、学校、高等教育、企業、刑務所、法曹、プロスポーツなど、私たちの社会の主流機関に貢献しています。
✡カバットジン教授の「マインドフルネス瞑想」を試したい方はこちらをどうぞ!
🔽動画「Guided Mindfulness Meditation Jon Kabat-Zinn」
医療分野以外にも大企業であるGAFA(アップルやグーグル)やフォードなど社員研修の一環としてマインドフルネス瞑想を導入したことで知名度が上がり、世界的に知られるようになりました。
世界中で受け入れられた理由は、多くの研究結果でマインドフルネス瞑想による体や脳への効果や臨床治療での有効性があることが実証されたからです。また、マインドフルネス瞑想の発想は仏教の瞑想法からきていますが、宗教的な要素を排除した瞑想スタイルは誰でも抵抗なく体験できることから多くの人に受け入れられたと言われています。
✡さらに詳しく学びたい人におすすめの本
🔼自分を操り、不安をなくす究極のマインドフルネス メンタリストDaiGo
🔼マインドフルネスストレス低減法 ジョン・カバットジン , Jon Kabat‐Zinn他
🔼~1日10分で自分を浄化する方法~マインドフルネス瞑想入門~ 吉田 昌生
医学博士おすすめの瞑想の方法
マインドフルネス認知療法など、最先端治療を取り入れた診療をしている久賀谷亮博士によると、瞑想は研究によって科学的根拠に基づいた驚くべき効果があることが分かっているそうです。ちょっとハードルが高そうで、敬遠しそうになりますが、瞑想の方法は想像以上にシンプルです。
①瞑想の方法
- 静かな場所でリラックスして座る。
- 目を閉じ、呼吸に意識を向ける。
- 何かしら浮かんでくる感情や考えに気づいてみる。
- 「考えているなぁ」と認識してから呼吸に注意を戻す。
- 今度は浮かんできた感情や考えに気づいた後、注意をむけないようにする。
- それを繰り返すことで、感情や考えが浮かばなくなってくる。
考えないようにするのが難しいと思う人もいると思いますが、「頭を空っぽに」「雑念を無くす」などと言い聞かせることではなく、ただシンプルに、「呼吸に集中する」→「感情や考えに気づく」→「また呼吸に注意を向ける」それを繰り返すだけで大丈夫です。それを繰り返すうちに自然と雑念が無くなり、頭も空っぽになっていきます。
慣れてくると上手にリラックスできるようになるので、何度か試してみましょう。
②いつやるのが一番良いか?
博士によると、朝にやる瞑想がおすすめだそうです。初心者は静かめで心地の良い空間や環境で瞑想をするのが理想です。賑やかで落ち着かない場所はできるだけ避けるようにします。
慣れると会社や学校の休み時間を利用して瞑想をする人もいるそうです。グーグルなどGAFAは実際に瞑想を導入していましたね。瞑想は座って目を閉じて呼吸に集中しなくては全くできないと思われがちですが、それが基本形ではあるものの、慣れるとどんな環境でも瞑想ができるようになります。
隣の人が読んでいる本に注意を向けてみる。それだけで瞑想になると言います。
呼吸に集中する、注意を向けるというのは、自分の感情や考え以外に集中する、注意を向けるということであり、それがとても重要です。よって、注意を向ける対象は何でもOKなのです。廊下を歩くときに聞こえる靴の音だったり、隣でキーボードを叩く同僚や友人の指の動きでも良いわけです。
自分の考え以外に注意を向けることで、集中力と生産性が向上するということも分かっていますので、場所と時間を決めて習慣化させると良いかもしれませんね。とりあえず5分~10分の瞑想でも十分効果が得られるので、まずは毎日続けてみましょう。
まとめ
『初心者でも大丈夫!マインドフルネス瞑想の方法と効果』はいかがでしたか? 「瞑想」というと、禅宗の座禅や写経みたいなイメージがありますが、宗教を問わず、何時でも何処でもでき、科学的根拠に基づいた効果があるのがマインドフルネスです。やっていくうちに自分が変化していることに気づくはずです。仕事や勉強も質の高いパフォーマンスが期待できますよ。
🔶Author:あみ(Ami)🔶
メディアプロデューサー/英語講師
日本の私立短大家政科卒。証券会社に就職後、渡米。大学でテレビ、ラジオ、及び映画制作を学ぶ。卒業後、日本のテレビ・ラジオ・出版などマスメディアの仕事に従事。趣味は文化・伝統芸能・ヨガ・バレエ・料理。近年は心理学・歴史・神社仏閣の造詣を深める。2019年、神社検定弐級合格。