前回の続きです。17世紀の代表画家であるフェルメールは、オランダの町、デルフトから一度も出たことがなく、わずか1キロ四方の世界で生涯を過ごしました。 目次 フェルメールの魅力 前回を見逃した方はこちらもどうぞ。 🔽合わせて読みたい! 噂のフェルメール展 上野の森美術館 その② 17世紀を代表する画家に そんなフェルメールが時代を超え、数々のフェルメール作品が現代の私たちをも魅了する理由に、永久に時間が止まったような感覚、静穏な雰囲気、光と影のコントラスト、考え抜かれた精緻な構図など幾つも挙げられます。もちろん、彼の作品の数々は私たちだけでなく、多くの画家たちにも多大な影響を与えています。 🔷フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890) 🔷サルバドール・ダリ(1904-1989) 「彼の絵には完璧なパレットがある」 「アトリエで仕事をするフェルメールを10分でも観察できるなら、この右腕を切り落としてもいい」 フェルメールの絵画にはカメラ・オブスクラが使用されたとよく耳にします。当時の人々のなにげない日常を描いた作品は、映像の一コマのような、もしくは写真の一枚のような印象を受けます。 にもかかわらず、私たちの目や脳裏に焼き付けてしまうほどのインパクト。これもフェルメールの卓越した制作技術によるものですが、今回はフェルメールが他の画家とは違う、3つのオリジナリティーに着目してみたいと思います。 フェルメールの技法① カメラ・オブスクラ どうして写真のような印象を受けるのでしょうか。やはりよく言われているのが、カメラ・オブスクラを利用したことが挙げられます。それではカメラ・オブスクラとはいったい何なのでしょうか。ピンホール現象を利用した原始的なカメラのことで、オブスクラとは「暗い部屋」という意味だそうです。 このピンホール現象とは、光を遮断した部屋や大きな箱を用意し、ある一面に小さな穴(ピンホール)を開けます。そうするとその穴を通った光(=外の景色)が反対面の内壁に上下反対に映し出されるという現象です。 🔷ピンホール現象 出典:ウィキペディア 現実世界がそのまま投影されるので、映像をなぞれば写真と同じ正確な世界を写し取ることが可能なのです。 フェルメールの制作工程ははっきりと分かっていませんが、デッサンが残されていないことから、カメラ・オブスクラを使って直接キャンバスに転写したものと推測されています。 🔷カメラ・オブスクラ 出典:ウィキペディア フェルメールの技法② ポワンティエ(点綴法) ポワンティエとは、光の反射やハイライト部分などを点描によって表現する手法のことを言います。これはカメラ・オブスクラの効果として産まれた、フェルメール作品には欠かせない「光の粒」です。 パンの部分は光の粒、ポワンティエで表現されています。 ハイライトのところに「光の粒」を描くことで、光の反射が強調され、宝石や金属のものはもちろん布までもがキラキラと輝いた印象を与えています。「牛乳を注ぐ女」の画中のパンはまさに光の粒を駆使して描かれています。 フェルメールの柔らかな光と影のグラデーションに、アクセントとしてこの光の粒が入ることで画中の世界は独特の光で満たされるのです。 これはもちろん実際に見えるものではなく、写真と同じ原理のカメラオブスクラを通して見える映像が、わずかにピンぼけの状態であるため光の反射が強くみられ、それを絵に取り入れたと考えられています。 (つづく) 🔽合わせて読みたい! 究極の絵画 フェルメールの魅力 その③続編 噂のフェルメール展 上野の森美術館 その② フェルメール展 現存する35点のうち9点が上野の森美術館へ! 投稿ナビゲーション 噂のフェルメール展 上野の森美術館 その② 究極の絵画 フェルメールの魅力 その③続編