6月15日から3日間、伊勢神宮125社で、五穀豊穣を祈る月次祭(つきなみさい)が執り行われました。その様子をマスメディアが報道していますが、いったい月次祭とはどういった祭祀なんでしょうか?
そこで、今回は月次祭の祭祀についてご紹介します。
五穀豊穣を祈る祭典『月次祭』
今さら聞けない「月次祭とは?」
月次祭とは、日本の重要な祭祀のひとつで、五穀豊穣、皇室の永遠、国家の繁栄、国民の平安、世界平和などを祈願するものです。1日や15日、またはご祭神にゆかりのある日などに執り行われる神社もあります。
伊勢神宮の月次祭は年に2回、6月と12月に行われます。それに加えて10月の 「神嘗祭(かんなめさい)」 と合わせて 「三節祭(さんせつさい)」 といいます。
伊勢神宮では年に1500以上の祭典が執り行われますが、その中で最も重要な祭典と位置付けられています。令和最初となる月次祭の予定は下記に通りです。
豊受大神宮(外宮)
由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ) 6月15日(土) 午後10時
由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ) 6月16日(日) 午前2時
奉幣(ほうへい) 6月16日(日) 正午
皇大神宮(内宮)
由貴夕大御饌 6月16日(日) 午後10時
由貴朝大御饌 6月17日(月) 午前2時
奉幣 6月17日(月) 正午
月次祭をはじめとする祭事は、一般でいう「お祭り」とは違い、祭主、神職が厳粛に粛々と執り行う「儀式」または、「祀り」なのです。
外宮と内宮それぞれに、アワビやタイなど新鮮で豪華なお食事で、由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)」と由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ)」の2回奉納されます。
奉幣とは皇室から送られた布などを奉納することを言います。令和最初の伊勢神宮の月次祭は25日まで125社で同様の祭典が執り行われるそうです。ちなみに内宮外宮の2つの正宮と14の別宮、そして109の摂社、末社、所管社を合わせた125社を神宮と呼びます。
祭事を執り行う祭主
上皇上皇后両陛下の長女・黒田清子さんが祭主を務められ、外宮・内宮で行われた3日間の祭典にご奉仕されました。祭主は天皇陛下の名代として神宮に赴き、祭事を執り行う重要なお役目を担います。
これまでは昭和天皇の娘で、上皇陛下の姉・池田厚子さんが務めていましたが、ご高齢のため、2017年6月19日に伊勢神宮の祭主に就任された清子さんが受け継いでおられます。 戦前は男性の皇族か元皇族の方が務めていましたが、戦後はGHQの占領政策によって皇族出身の女性が就くようになったそうです。
補足ですが、祭主は月次祭や神嘗祭(かんなめさい)など年5回の祭事を執り行います。前後のご参拝も含め、各々の祭事で3~5日間は伊勢に滞在し、合計すると30日くらいの日数になります。祭事の中には夜を徹して行うものもあり、体力、気力、精神力が不可欠な任務なのです。
まとめ
伊勢神宮の祭事が一般的に日本の繁栄、私たち国民の幸福を祈るものでもあることはあまり知られていません。これを機に、私たちの国で脈々と受け継がれている祭祀にはどんなものであるのか、改めて学ぶのもいいかもしれません。お伊勢参りの意味もさらに増して、身の引き締まる思いがします。
伊勢神宮でお参りした後に、ぜひ立ち寄りたいのは、おかげ横丁。てこね寿司、赤福、そして、伊勢うどんなど、地元グルメも堪能できます。ああ、またあの神聖な空気に包まれた神宮へまた行きたくなりました。