満ちたりた生活のためのお役立ちサイト

カルカフェ(Cultural Cafe)

情報 映画

映画『インターステラー』再び観たくなる10の興味深い事実

投稿日:

 クリストファー・ノーラン監督のSF映画『インターステラー』には、知られていない面白い事実がたくさんあります。そこで今回は、ノーラン監督の作品の魅力的な解説や制作秘話、さらにはジェームズ・キャメロン監督との興味深いインタビューで明らかにされたSF映画に対する情熱など、バラエティーに富んだトピックを紹介します。

『インターステラー』再び観たくなる10の興味深い事実

1.最高のSF映画のひとつと評された『インターステラー』

 この映画『インターステラー』は、人類の未来をかけた究極の冒険を描くSFの傑作です。壮大な宇宙の舞台で、家族の絆と人類の存続をめぐる壮大なストーリーが展開されます。先進的な科学理論と感動的な人間ドラマが融合し、観る者の心を捉えます。

 宇宙をさまざまな観点から考察すると、まだまだ未知の世界であるために否定的な意見もあるかもしれませんが、専門家を取り込み、事実に基づいて作られた作品であることに変わりはありません。

2.『インターステラー』情報

原題:Interstellar

上映時間:169分

プレミア公開:2014年10月26日(アメリカ・ハリウッド) 

劇場公開日:2014年11月22日(日本)

配給:ワーナー・ブラザース、パラマウント映画

監督:クリストファー・ノーラン

キャスト:マシュー・マコノヒー、ジェシカ・チャステイン、アン・ハサウェイ、ティモシー・シャラメ、マッケンジー・フォイ、マットデイモン、マイケル・ケイン

★受賞歴:第87回アカデミー賞5部門ノミネートで1部門(視覚効果賞)受賞。

3.概要

インターステラー』は、地球が住めなくなる状況下で人類を救うために奮闘する親子の物語です。NASAの科学者たちは移住可能な惑星を探しており、その探索には勇敢な有志たちが未知のワームホールをくぐって宇宙船で挑みます。物語の主人公である元空軍パイロットのクーパーは、娘の部屋で起こった不思議な出来事をきっかけにNASAの研究所にたどり着き、ミッションに参加することになります。

 彼は4次元超立方体の空間から重要なデータを地球に残した娘に送り、絶望的だった人類移住計画を実現させます。そして、彼はミッションの中で自分たちを助けてくれた存在がじつは未来の人類であることに気づきます。

4.興味深い事実ベスト10(ネタバレ注意)

➀映画に登場するAIマシン、TARSはホンモノ⁈

 実際のTARSは、CGIで作られたロボットではありませんでした。しかし、映画で描かれたような複雑なAIマシンでもありませんでした。TARSは巨大な人形であり、そのデザインにはロリポップスティックがインスピレーションとして取り入れられたと言われています。

 これはまるで嘘のようですが、実際に本当の話なのです。90.72㎏のロボットの背後で、キャラクターの声と動きを制御していたのはビル・アーヴィンでした。ただし、より複雑な動きにはスタントマンのマーク・フィチェラが担当していました。

②俳優が着ていた宇宙服はホンモノです!

 🔼SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座より

 衣装デザイナーであるメアリー・ゾフレスは、映画に最適な宇宙服を制作するためにチームと協力し、様々なデザインや素材を試し始めました。ゾフレスの宇宙服には機能する酸素ユニットが備わっており、俳優たちは長時間の撮影でも快適に呼吸することができました。

 宇宙服のスーツは暑くないですか?という質問について、ゾフレスは衣装デザインでその点を指摘しました。その結果、『インターステラー』のスーツは実際の宇宙服と同様に水を運ぶ冷却チューブが装備されています。これら装備によって、インターステラー宇宙服の重量は13.5㎏~16㎏になるそうです。

③映画『インターステラー』は科学に忠実!

 ノーラン監督は、『インターステラー』をできるだけ現実の科学に近づけることを望んでいました。そのため、2017年のノーベル物理学賞受賞者であるキップ・ソーン博士が映画制作に協力することになりました。

 ただし、博士と監督の間には論争があったと言われており、すべてが順調だったわけではありませんでした。監督は光速を超えることを望んでいましたが、博士は科学の正確さを重視していました。議論の末、ノーラン監督はソーン博士の提案に同意することとなりました。

 余談ですが、監督は新しい楽曲を望んでおり、そこでドイツの作曲家ハンス・ジマーに連絡を取り、映画音楽の依頼をしました。ジマーは100曲以上のサウンドトラックや映画音楽を作曲・プロデュースしてきましたが、その中で約50曲がオスカー賞にノミネートされています。

🔼クリストファー・ノーランの世界 メイキング・オブ・インターステラー BEYOND TIME AND SPACE

④映画のためだけにCGIソフトウェアを開発!

 科学的正確さを維持したいというノーラン監督の要望で、ソーン博士はワームホールとブラックホールのシミュレーションのための理論方程式を提供しました。ポール・J・フランクリンとタブルネガティブのチームは、映画の中で科学現象をリアルに表現できる新しいCGIソフトウェアを開発しました。

⑤アン・ハサウェイは撮影中に低体温症になりそうになった?!

 🔼SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座より

 氷の惑星でのシーンの撮影中、ハサウェイの宇宙服のジッパーが適切に閉まっておらず、冷水が侵入してしまいました。

 しかし、ノーラン監督に知らせた後も休憩なしで撮影は続けられました。その代わりに彼はシーンを早く終わらせるように促したそうです。このシーンの撮影にはそれほど時間がかからなかったのと、才能ある女優は問題なく事無きを得ました。

⑥スティーブン・スピルバーグは当初『インターステラー』を監督する予定だった⁈

 スティーブン・スピルバーグは数えきれないほどの名作映画を制作してきましたが、インターステラーは彼が決して作ることが出来なかった映画リストに含まれています。

 ドリームワークスとパラマウントが袂を分けた後、ストーリーが後者のものとなったため、スピルバーグはこの映画に取り組むことが出来なくなりました。

 スティーブン・スピルバーグ監督の『インターステラー』はどんな感じだったでしょうか。今となってなっては知る由もないですが、少なくともノーラン監督とは異なる作品になったことは想像できますし、きっとクーパーとブランドのロマンティックな関係が描かれていたことでしょう。

⑦世界的に有名な作曲家ハンス・ジマ―が作曲しました!

 ノーラン監督はジマ―に細かい指示はせず、映画の主要なテーマを説明するテキストを一枚だけ渡したそうです。そのため、ジマ―は脚本、プロットどころかタイトルさえ知らずに楽曲を作成したのでした。最終的に彼は映画の核心をうまく体現された素晴らしい曲を生み出しました。

⑧ティモシー・シャラメは映画を観て泣いた⁈

 2014年に『インターステラー』が初めて映画館で上映されたとき、ティモシー・シャラメは比較的無名でした。彼にとって『インターステラー』は2作目の長編映画であり、この作品が自分のキャリアアップになることを望んでいました。

 しかし、試写会で自分の演じた役が思ったよりも小さいことに気付き、家に帰ってからショックで泣いたそうです。

 ところが嬉しいことに、シャラメはその後すぐに大ブレイクを果たし、僅か数年で彼は、『レディ・バード』、『君の名前で僕を呼んで』、『ビューティフル・ボーイ』で次々と役を得ることができたのです。

⑨世界中のさまざまな場所で『インターステラー』を撮影した⁈

 🔼SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座より

 映画の撮影のためにグリーンスクリーンを多用することも、また、CGIに完全に依存するようなことをノーラン監督は望んでいませんでした。そこで、彼は完璧なシーンを撮影するためにスタッフを世界のさまざまな場所へ連れて行きました。撮影されたロケ地は次のようなところがあります。

  • アイスランド南部のエルドラウン溶岩原
  • アイスランド南部のスヴィナフェルスヨークトル
  • アイスランド南部のマファボット
  • カナダ、アルバータ州
⑩冒頭のインタビューはホンモノだった⁈

 ノーラン監督は、2012年にPBSで放送されたケン・バーンズによるドキュメンタリー『ザ・ダスト・ボウル』シリーズのオリジナルクリップを使用しました。このドキュメンタリーは、1930年代を通じてグレートプレーンズの農地を破壊し、大草原を砂漠に変え、多くの人にとってこの世の終わりを告げるかのように思われた大規模で致命的な砂嵐を引き起こしたアメリカ史上最悪の人為的環境災害でした。

ドキュメンタリー『ザ・ダスト・ボウル』⇒ PBS The Dust Bowl

 このドキュメンタリーは、映画『インターステラー』の初期の地球のシーンにインパクトを与えました。綿密に研究された科学的解釈やリアリティーを追求した数々のショットなど監督のこだわりが誰もが楽しめるSF映画を作り上げました。

5.知ればもう一度観たくなる ノーラン監督のインタビュー

🔼SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座より

 『アバター』『タイタニック』で有名なジェームズ・キャメロン監督からテレビ番組『ジェームズ・キャメロンのストーリー・オブ・サイエンス・フィクション』のセットでノーラン監督がインタビューを受けた時のものです。サイエンス・フィクションの各ジャンルに関して、また、SF映画の過去と未来について熱く語っています。

🔼SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座より

 このインタビューでノーラン監督は、タイムトラベルの複雑さ、自由意志の概念、SFジャンルの無限の可能性など広範囲に渡って語り尽くしています。独断ですが、興味深いところを幾つか紹介します。

🔼SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座より

Q1. SFの世界に飛び込んだきっかけは?

A. ノーラン監督は子供の頃からサイエンス・フィクションの大ファンだったと言います。将来を決めるのに多大な影響を受けた映画が2つあって、

1作目は、『スター・ウォーズ

 2作目は、『2001年宇宙の旅』で、リバイバル上映されている時に、父親に連れて行ってもらったそうです。

 インタビュアーのジェームズ・キャメロン監督にとっても『2001年宇宙の旅』は試金石的作品だと言います。

Q2. 『インターステラー』の制作時、様々な疑問に答えてくれた作品が『2001年宇宙の旅』?

A. お気軽なポップコーン・ムービー的な要素が皆無な『2001年宇宙の旅』は、紛れもなく芸術性の高い作品だとノーラン監督は言います。彼が『インターステラー』を制作することになった時、どのようにして3次元を超えた高次元へ人々の理解を超越した空間に行くのか?どのようにしてブラックホールの中に飛び込むのか?など様々な疑問に向き合うことになりました。

 そこで『2001年宇宙の旅』を再度見直したら、あることに気付いたそうです。ノーラン監督は、キューブリック監督には、他の誰もできなかった”省略”ができたのだと。つまり、視覚効果であろうが、ミニチュアワークであろうが、当時実現不可能なことであろうが、敢えて見せないという選択をしていたんだと思ったそうです。

🔼SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座より

(上)『2001年宇宙の旅』でボーマン船長を演じるキア・デュリアと(下)『インターステラー』でクーパーを演じるマシュー・マコノヒー

 『2001年宇宙の旅』がなければ、『インターステラー』のような作品は生まれなかったと言い切るほど、『2001年宇宙の旅』はノーラン監督の中で基準になっていました。

Q3. 『インターステラー』で敢えてやらなかったことは?

A. 実は、映画のために未来的なものは実際に何も作っていなかったとノーラン監督が言います。彼は映画に出てくる人間を40年後にどんなズボンを履いているのかと考えさせるようなことはしたくなかったそうです。そんなことは誰も分からないし、40年後のズボンなんて滑稽だとキャメロン監督も同意していました。

Q4. 『インターステラー』のベースはリアルな科学?

🔼SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座より

A. ノーラン監督自身、『インターステラー』の中できちんとした物理的手法で、ディスカバリー号が回転してドッキングするシーンを細かく描写し、正確にニュートン物理学を考察したことに興奮したそうです。

 映画の大部分で量子物理学、アルベルト・アインシュタインの相対性理論、さらにはアイザック・ニュートンの力学について語っています。それは、監督が映画ファンに内容をきちんと把握してもらったうえで、人として大切なことに気付いてもらうのが狙いでした。

 その証拠に、映画制作には物理学の権威であるキップ・ソーン博士に力になってもらっています。リアルな科学がベースの『インターステラー』は、それ以上のものを生み出そうとしてたのでした。

Q5. ブラックホールはどうやって可視化されたのか?

A. 視覚効果スーパーバイザーのポール・フランクリン氏がキップ博士と一緒に作業を行いました。フランクリン氏もかなりの科学通だったので、2人は正確な方程式を使って3Dグラフィックス処理を行ったそうです。彼らの作り上げた映像には、ブラックホールを取り巻く、ガスや塵からなる回転円盤は重力と巨大なレンズに歪んでいました。その映像を見たノーラン監督は衝撃を受けました。

 時間のひずみを現わすのに、キップ博士は方程式を教え、それからブラックホールの映像を作り、それで彼は、他の科学者たちに「これが可視化されたブラックホールだ」と示しました。

 優れたSF作品が科学者を刺激することはSF界の好循環だとジェームズ・キャメロン監督や絶賛しています。

Q6. どうして『インターステラー』に登場するロボットは奇抜な形状?

A. ノーラン監督は、AIの研究、さらにはロボット工学研究について、実際に外見が人間のようなロボットである必要がないという時代が来るのかどうか興味深く思っています。彼が注目しているロボットは工場で稼働している機能を優先する機械であり、それらは人間とは似ても似つかない。

 『インターステラー』に登場するロボットは、まさに実用的な機械に過ぎず、ものすごくシンプルでエレガントな作業用具をイメージして作られました。ノーラン監督は、プロダクションデザイナーのネイサン・クロウリーに「建築家のルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエがデザインするロボットだと考えてくれ」と説明したそうです。つまり、人間の動きに模倣するような意図が感じられないロボットということです。

Q7. ”テサラクト”とは?

A. "テサラクト" とは、超立方体、4次元の立方体の名前です。『インターステラー』の中で描かれたテサラクトは、キップ博士の科学的知識から引き出して作り上げた空間であり、1次元を眺めるにはひとつ上の2次元の生物でなければなりません。2次元を眺めるなら、3次元の生物、4次元を観察するなら、5次元の生物でなくてはならないという考え方です。

 つまり、私たちの時間次元は4次元的空間から眺めることができます。私たちが時間だと感じるのは”何か”であり、それをキップ博士はノーラン監督に早い段階で、次元を越えられる力は重力であることを教えました。

 主人公のクーパーがテサラクトに入った時、観客が観たものは3次元で表現された4次元的空間でした。決して彼がタイムトラベルをしているわけではなく、ブレーンワールドから抜け出して、過去を眺めていたのであり、物理的次元として時空間を行き来していたと言います。

アン・ハサウェイ演じるブランド博士は、映画の始めの方で、高次元の存在について、「たぶん、”彼ら”(高次元空間にいる存在)は、自分たちが谷を下るように過去へ、山に登るように未来に行ける」と話しています。テサラクトはそのようなアイデアの上に築かれているとノーラン監督は言います。

まとめ

 「映画『インターステラー』再び観たくなる10の興味深い事実」はどうでしたか?監督としては9作目となる作品。化学的事実に基づいて制作された今までにないSF映画であり、観るたびに新しい発見があります。『インターステラー』で描かれたテサラクトは、娘マーフの部屋の現在、過去、未来が折り重なって繋がっている時空間でした。

-情報, 映画
-, , , , , , ,

Copyright© カルカフェ(Cultural Cafe) , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.