この夏、ジブリが熱い！ いよいよ7月14日に宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』が公開されます。その公開を記念して、この夏にジブリの3作品が金曜ロードショーで放送されることが先日発表されました。また、イベントとして「金曜ロードショーとジブリ展」が天王洲の寺田倉庫で6月29日（木）～9月24日（日）まで開催されます。
7月7日は『風の谷のナウシカ』が金ローで放送されます。それに先駆けて、今回は『風の谷のナウシカ』のおさらいしておきたいトリビア・豆知識をまとめてみました。作品を観るのが初めての方にも分かりやすく解説しています。前半と合わせてぜひご覧ください。
『風の谷のナウシカ』の知っておきたい情報２
ナウシカの名前の由来
ナウシカの名前は、ギリシャ神話「ギリシア神話小辞典」に登場するスケリア島の王女ナウシカアからきていると宮崎さんと高畑さんの対話で明かされています。また、人物像も影響を受けているとも宮崎監督は語っていました。
▶HP：「ジブリのせかい」より（スタジオジブリ非公開ファンサイト）
高畑：『風の谷のナウシカ』というのは非常にいい題名なんですよね。最近そう思ったんじゃなくて、はじめからそう思っていたんだけど…。（略）
宮崎：いい名前ないかなあって辞典をひっくり返していたんです。バーナード・エヴスリンという人の『ギリシア神話小辞典』を。そしたら、アリオンなんかもあるんですよね。で、ナウシカをみつけて、瞬間いい名前だ、と思ったわけ。読んだら中身もいいんですね。
（中央）Lord Frederic Leighton 1830-1896cNausicaa]
（右）Charles Gleyre 1806-1874 [Odysseus and Nausicaa]
高畑：ナウシカと言うのは、ギリシャ神話の中で、どういう人だったのか？それで、マンガの主人公の少女に、その名前を付けたわけだけど、それは、その名前が気に入ったのか、それとも、幾分かはギリシア神話の中でのナウシカという人のものをひきずっているのか、その辺はどうですか?
宮崎：そうですね。ひきずってますね。なんか、浮世からズレてる人なんですよ。パイアキアの国王の娘なんですが、結婚もせず、恋人もいず、それから化粧というものを好まないで、いやそれはよく分かんないけれど。とにかく、もういい年なのに相変わらず竪琴を弾いてね、海岸を走り回って。そのくせ、海岸に血まみれの男が打ち上げられて、みんな逃げまとうのに、それをかばって介抱するわけです。
神の呪いをうけた不吉な男という神話があって、王はその男を殺そうとするんですが、失敗していく、この男がオデュッセウスなんだけど。ギリシア神話はこのあたりがいい加減なんですが…、オデュッセウスがトロイ戦争の英雄だという話はもう伝わっていて、それを即興の詩にして、竪琴で歌うんですよ、ナウシカが宮廷でね。すると男ははらはらと涙を流して「じつはそれが俺だ」って名を名乗る、という構造なんです。
高畑：なるほど。
『風の谷のナウシカ』のトリビア２
➀米国版は『Warriors of the Wind』という名で大幅カットされた短編映画！？
スタジオジブリはジブリ作品の国際リリースに対しては厳格で、カットなしのポリシーを貫いています。ところが、『風の戦士』は例外で、この英語版は1985年に劇場公開され、その後すぐにこのビデオバージョンがリリースされました。
この作品は『風の谷のナウシカ』を大幅に編集したものです。家族向けに売り込むために約22分間カットされ、内容まで変更された物語になっているそうです。 キャラクターの名前も多く変更されています。主人公のナウシカはザンドラ王女となっていました。
『Warriors of the Wind』（英語版）
🔽⇩『Warriors of the Wind(風の戦士)』をyoutubeで観たい方はこちらをどうぞ！
Warriors of the Wind - U.S. Theatrical Trailer
あらすじは、今から1,000年後の世界で最もファンタジックな家族の冒険！英雄、悪魔、征服者、生き物…そして、彼らの最大の挑戦の翼に乗っている若い戦士の一団！
北米での最初のリリースでは映画の扱いが貧弱であったにもかかわらず、「風の谷のナウシカ」のカットされていないバージョンが1990年代にホームビデオでリリースされ、それ以来、宮崎作品のアメリカのファンの間で愛されるクラシックになりました. この映画は、息をのむようなアニメーション、説得力のあるストーリー、環境への強いメッセージで称賛されることがよくあります。
米国の批評家も、「風の谷のナウシカ」についてとても好意的です。この映画は Rotten Tomatoes で 94% の支持率を獲得しており、その想像力豊かな世界構築、強い女性主人公、環境保護や戦争の無益さなどの複雑なテーマの探求が称賛されています。
②王蟲の声は布袋寅泰さんのギターだった！
ナウシカの続編は漫画で読める！
『風の谷のナウシカ』コミック全7巻は、高い評価を受けていて、漫画レビュー.comでは7.94点という高得点を得ています。その理由として独特の世界観や細部まで考え抜かれた物語の構成が挙げられます。また、宮崎監督の才能が溢れた作品としても注目され、彼特有の絵のタッチが魅力のひとつとも言われています。
独特の世界観が展開するこの作品ですが、環境問題への提起やヒューマニズムの在り方など、様々な問題が絡み合い、今までにない切り口でストーリーが語られていきます。よって、私たち読者はこの作品を通じていろんなことを考える機会を与えられると思います。
また、映画版と漫画版のあらすじは異なります。映画版は漫画版の序盤の話がまとめられたもので、一部アレンジされています。加えて、話の結末は平和的でハッピーエンドに近い形でおわりますが、漫画版はその先の話が描かれています。
漫画版で描かれているその先の物語は、映画版では触れられなかった旧世界の真実やそこに住む人たちにフォーカスしたり、巨神兵のことも迫っていきます。また、映画では描かれなかった土鬼（ドルク）と呼ばれる巨大国家が登場します。そのドルクが重要なポイントで、物語は予想外に展開していきます。
実際に漫画版を読み始めて、ちょうど3巻まで読み終えたところです。ワイド版で定価が430円。映画版よりはるかに複雑な内容になっていますが、その分読みごたえがあり、超おすすめです。
金曜ロードショーとジブリ展
寺田倉庫B＆C HALL／E HALL（東京・天王洲）
2023年6月29日（木）～2023年9月24日（日）
この展覧会は日本テレビの『金曜ロードショー』の歴史を振り返りながら、本番組で放送したジブリ作品の魅力に迫るものです。1985年に番組が始まり、翌年に『風の谷のナウシカ』は初放映されました。これまで『金曜ロードショー』で放映したジブリ作品はなんと200回以上だそうです。その足跡はまさにスタジオジブリが人気を博し、不動のものとしてきた道とも言えそうです。
『金曜ロードショーとジブリ展』では、放送した時代別に記録された情報と記憶をもとに、ジブリ映画の魅力に迫ります。昭和、平成、そして令和に至るまでそれぞれの時代を振り返りながらジブリ作品が人々の心をつかんで離さなかった背景も追体験できそうです。
まとめ
【保存版】『風の谷のナウシカ』の知っておきたい豆知識！はいかがでしたか？
金ローでは7月7日は『風の谷のナウシカ』の他に、7月14日は『コクリコ坂から』、7月21日は『もののけ姫』を放送します。
『金曜ロードショーとジブリ展』では体感型の展覧会ということで、スタジオジブリ作品の世界観が十分楽しめます。『風の谷のナウシカ』に登場する“腐海”を再現した空間もあるそうですよ。
宮崎アニメは何度観ても飽きない普遍的な作品ばかり。この機会にぜひ作品に触れてみてください。さらに深く作品を味わえるかもしれません。
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