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究極の絵画 フェルメールの魅力 その③続編 

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前回の続きです。見逃した方はこちらもどうぞ。

フェルメールの魅力 

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フェルメールの技法③ フェルメール・ブルー

前回の続編です。「青いターバンの少女」などフェルメール作品の特徴的な鮮やかな青色は、フェルメールブルーと呼ばれます。実際に目にすると、気品があり、深みのある青色は見れば見るほど安定感や心が澄んでいくような清涼感を味わえます。色の力が功を奏して作品自体をより上品で上質なものに進化させています。上の「牛乳を注ぐ女」に描かれたメイドの青いエプロンもそうですね。

また、フェルメール作品の特徴のひとつに、このブルーは明るい黄色とセットで用いられることが多く、この黄色と青の鮮やかなコントラストの効果は、後世ゴッホや「色彩の魔術師」といわれるマチスにも受け継がれているそうです。

このブルーはウルトラマリンブルーと言って、ラピスラズリという鉱物を砕いて作られています。

ラピスラズリ

アフガニスタン産 天然ラピスラズリ ブレスレット 大粒10mm

高価だったウルトラマリンブルー

現在、ウルトラマリンブルーは化学合成で簡単に生産でき、安価に手に入れられれるようになりましたが、この化学色ができる19世紀ごろまでは天然鉱石を使用していました。そうは言っても天然の青のもとになる顔料は極めて希少価値が高く、中でもラピスラズリは例外ではなく、ごくわずかしか採掘できませんでした。フェルメールの時代には金よりも高価だったそうです。

また当時、ヨーロッパでは産出されず、ラピスラズリは品質が良いアフガニスタン産が輸入されました。海路で運ばれたことから「海を越えて運ばれる青」という意味で「ウルトラマリン」と呼ばれるようになりました。

平安時代の日本にもあったラピスラズリ

昔から日本でもラピスラズリは「瑠璃」と称して七宝のひとつに数えられ、お守りや絵具の顔料としても使われていました。装飾品や美術工芸品など、正倉院宝物に収蔵されています。四角いラピスラズリが施された紺玉帯は聖徳太子が身につけていたもので、当時は権威を表すものとしても使われていました。

紺玉帯 残欠 - 正倉院
紺玉帯 残欠』出典:正倉院

ラピスラズリはアフガニスタンのパダフシャーンというアフガニスタンとタジキスタンにまたがる中央アジアの地域でしか採掘できなかったので、専門家の間では日本へはシルクロードを通ってもたらされたと考えられています。

光の技法、陰影効果、空間表現、そして人体解剖学など総力を結集して表現されたフェルメール作品。また機会があったら本物を鑑賞したいと思います。

フェルメールの映画

最後にフェルメール関連の映画を観たい方は、2003年イギリスとルクセンブルク合作のドラマ映画、「真珠の耳飾りの少女」があります。ベストセラー小説を映画化した作品。実際にモデルとなった少女は誰なのか未だに明らかにされてはいないですが、この物語では少女と画家の間に生まれる信頼と尊敬、そして恋愛を描いています。

(英題:Girl with a Pearl Earring)

監督:ピーター・ウェーバー

出演:コリン・ファース、スカーレット・ヨハンソン

上映時間:100分

2003年アメリカ公開(2004年4月に日本公開)

まとめ

フェルメールの魅力とは、ひと言で写真のような効果があると言いますが、本来それが何であるのか深く掘り下げていくと、視覚だけでは語り切れないことは歴然と分かります。

フェルメールの作品を目の前にした瞬間、フェルメールの目から彼自身のすべての感覚器官を通してキャンパスに一筆一筆描かれていることが実感できます。体温や湿度や質感、ときには聴覚や味覚まで感じるのではないかと錯覚するくらいリアルに表現されています。

だからこそ、「写真のような」作品と絶賛されるのでしょう。またフェルメール作品を鑑賞する機会があれば、ぜひ足を運びたいと思います。

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