年に一度しか公開しない尾形光琳の燕子花図。 金屏風に咲き誇るカキツバタの群生を描いた草花図です。 庭園のカキツバタも見ごろを迎え、いままさに満開でした。
ホンモノのカキツバタに合わせて「尾形光琳の燕子花図ー寿ぎの江戸絵画ー」が、東京・南青山の根津美術館で開催されています。会期は2019年4月13日~5月12日。そこで今回は、開催の様子をご紹介します。
国宝・尾形光琳『燕子花図屏風』
クリムトにも影響を与えた日本屈指の名作『燕子花図屏風』
光琳の装飾芸術は国内の絵師や芸術家ばかりでなく、世界を代表する画家たちにも多大な影響を今もなお与え続けています。
金地の六曲一双屏風に描かれた濃淡の群青と緑青による燕子花の群生はシンプルでありながらも、圧倒的な迫力でした。
尾形光琳(1658〜1716)は京都の高級呉服商に生まれ、俵屋宗達に私淑したことで知られていますが、この作品は日本をはじめ、世界中の絵画史全体に影響を及ぼした偉大な作品です。
尾形光琳『国宝・燕子花図屏風』
- 江戸時代 18世紀
- 紙本金地着色 6曲1双
- 縦151.2cm 横358.8cm
例を挙げれば、 オーストリアの画家・クリムトは、1873年に開かれたウィーン万博で鑑賞した尾形光琳晩年の傑作「紅白梅図屏風」など琳派の屏風画に強い衝撃を受けました。後に日本流の金箔技術を習得し、独特の絵画技法を確立したことは有名ですね。
クリムトの「接吻」や「アデーレ・ブロッホ・バウアーの肖像画」からも分かるように、金箔を使用した装飾は琳派の屏風画を彷彿させます。
燕子花図屏風のほかにも、草花図屏風や洛中洛外図屏風、名所風俗図屏風などもまとめて鑑賞でき、日本文化が開花した江戸時代の芸術作品の数々を堪能できました。
祇園祭に沸く賑やかな都、そしてお伊勢参りや物見遊山の人々で活気づく各地の名所を描いた作品はじつに綿密な描写に当時の様子が手に取るように分かって実に面白かったです。
庭園散策
根津美術館を楽しむのにかかせないのが庭園散策ですね。都会真ん中にオアシスとも言われる庭園があり、美しい草花に癒され、雑踏から少し解放されることで元気になれます。
一年に一度の公開。国宝・尾形光琳の燕子花図屏風、日程を確認のうえ、ぜひ足を運んでみてくださいね。
まとめ
一度は見てみたい国宝・尾形光琳の『燕子花図』はいかがでしたか。西洋から日本は影響を受けてきたと同時に、日本からも光琳のような素晴らしい伝統芸術や、さらにそれらを進化させた現代の芸術が世界に影響を与え続けていることを知ると誇り高い気持ちになります。
ぜひ、西洋美術だけでなく、日本の美術にも関心を持ってほしいなと思います。間近でホンモノの芸術に触れることでしか、得られないものがあることが分かります。